2019年1月2日水曜日

エンリッチメント:あまり楽をしてもいけないのかも…

年末たまたま見たテレビでシンガポールの動物園の紹介をしていた。そこではできるだけ自然に近い環境で、動物たちに退屈させない工夫がたくさんあって面白かった。



なかでも興味を引いたのは「エンリッチメント」。例えばチンパンジーの餌箱には、棒で外からうまく操作しないと餌が出てこないような仕掛けが施されている。ライオンとキリンを近くに置いて(安全な距離で)お互いの緊張感を高めたりもする。


エンリッチメントとは


"enrichment" は「豊かにするもの」「質の向上」のような意味。動物園では、飼育環境・方法に対して「環境エンリッチメント」という言葉が使われるようだ。

いくつかの記事を見ると、「動物福祉」的な書き方のもの(*1)と、「動物は苦労を求めるもの」という動物の習性について書いてあるもの(*2)とがあった。

*1 エンリッチメントって何だろう?
*2 環境エンリッチメント

ただ、どちらも「自然に近い環境で、動物が自分で選ぶ、苦労して餌を得るなど、退屈させない」ことを狙っているようだ。

「コンクリートで囲まれた檻の中で、同じ時間にエサ」といった従来の退屈な(動物にとっても見る人間にとっても)動物園のありかたの対極をいくものとも言える。


動物は苦労を求める?


個人的に面白いと思ったのは「動物は苦労を求めるもの」の方。

記事によると「動物類の脳は苦労せずに手を入れたものよりも、苦労して手に入れたものを好む」し「満足度が高くなっている」らしい。

そして、そのことが動物の能力(罠や毒餌を判別する能力を含む)を高めている可能性があるということだ。


人間にもエンリッチメント?


テレビの番組を見ながら、そしていくつかの記事を読んで思ったこと。人間にも「エンリッチメント」が必要なのではないか? とくに自分で家事をしない男性に…(^^;)。

現代社会は色々な面で便利になり過ぎて、自分で苦労して食べ物を探す・作るとか、苦労して遠くの目的地にたどり着くとかいうことが減ってしまった。

その結果、ある意味で現代人は「退屈」しているのかも知れない。電車の中でスマホにかじりついている人たちは決して活き活きとはしていない…。

といっても、いまさら野生のような生活とか、自給自足の生活には戻れない。でも、その中で少しでも「苦労して手に入れるもの」を持つことができるといいのかも…?


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