今日は「第2章 認知症について知っておきたいこと」(基礎知識)その2 で、タイプ別の認知症について簡単にメモしておく。
認知症の種類
まず、主なタイプの4つを再掲しておく。
- アルツハイマー型(60%)
- 血管性(20%)
- レビー小体型
- 前頭側頭型
アルツハイマー型認知症
物忘れが緩やかに進行していく。早めに発見できれば進行を遅らせられる。ごく軽度の段階では予防も可能。
「アミロイドβ」というタンパク質が脳内に溜まることから始まる。蓄積していくと脳が萎縮していくとともに、神経伝達物質の「アセチルコリン」が減少し、やがて海馬に悪影響を及ぼす。
治療薬としては、アセチルコリンを分解する「コリンエステラーゼ」の働きを阻害する薬が使われることが多い。主な薬品名(メーカー/ 成分)を下記に示す。
- アリセプト(エーザイ/ ドネペジル)
- レミニール(武田薬品工業、ヤンセンファーマ/ ガランタミン)
- リバスタッチパッチ(小野薬品工業/ リバスチグミン)
- イクセロンパッチ(ノバルティスファーマ/ リバスチグミン)
他に、NMDA受容体拮抗薬という脳の神経細胞を守る薬もある。第一三共から「メマリー」という薬品名で出ている。成分はメマンチン。
また、リハビリテーションや「アクティビティケア」(創作活動やゲームなど)でも効果が期待できる。
血管性認知症
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳血管障害で起こるもの。脳のどの部分がダメージを受けたかにより症状は異なるが、意欲低下、気分の落ち込み、感情失禁(悲しくないのい泣いてしまう、おかしくないのに笑ってしまう等)などの特徴がある。
症状は、脳血管障害と同時に出る場合も、しばらく経ってから出る場合もある。症状の進行は、アルツハイマー型では緩やかに進むが、血管性では発作を繰り返すたびにガクンと機能が低下していく。
原因となった脳血管障害を治療することによって、症状の進行を抑えることができる。それぞれの病気に応じた薬物療法を行うと同時にリハビリによる機能回復を図る。
レビー小体型認知症
脳の神経細胞内部に「レビー小体」と呼ばれる球形状のものが多数現れ、後頭葉の血流が悪くなることで発症する。初期段階から、実際には存在しない人物や物が見えてしまう「幻視」が現れるという特徴がある。
また、手や首が小刻みに動く「振戦」や、筋肉が硬く縮まっていく「筋固縮」、筋固縮が進んで動きが悪くなる「無動」などの症状も見られる。
歩くときに一歩目が踏み出せない「フリージング」という症状があるなど、運動機能が低下して転倒することが多いので注意が必要。
アルツハイマー型と同じく「アセチルコリン」が減少するので、アルツハイマー型で使われるコリンエステラーゼ阻害薬が用いられる。2014年には「ドネペジル」という治療薬が承認された。
前頭側頭型認知症
前頭葉(判断力、抑制)と側頭葉(言葉の理解)の両方が萎縮して起こる。特徴としては、物忘れよりも判断力の低下や異常な行動が見られる。
"going my way behavior" と呼ばれる、周りの状況に頓着せず「我が道を行く」ような行動も見られ、社会生活に影響を及ぼすことが多い。
現時点では有効な治療法は見つかっていない。
出典:『自分でできる 家族でできる 認知症予防と対処法』
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