2020年1月11日土曜日

本『ホモ・デウス(上)』からの抜き書きメモ

《読書メモ『ホモ・デウス(上)』》に書いた「読書メモ(抜粋版)」である。久しぶりに頭が働いていた…(^^;)…ので一気に書くことができた。

『ホモ・デウス(上)』という本の面白かった箇所の抜き書きである。




10
今日、食べ物が足りなくて死ぬ人の数を、食べ過ぎで死ぬ人の数が史上初めて上回っている。感染症の死者数よりも、老衰による死者数のほうが多い。…殺害される人を全部合わせても、自ら命を断つ人がそれを数で凌ぐ。

24
バイオテクノロジーは私たちがバクテリアやウイルスを打ち負かすことを可能にしてくれるが、同時に、人間自体を前例のない脅威に変えてしまう。…軍やテロリストが…世界を破滅させる病原体を遺伝子工学で作ることも可能にしかねない。

25
ほとんどの地域では、戦争はかつてないほど稀になった。(※人間の暴力による死の割合:古代では15%、20世紀では5%、21世紀初頭の今は1%)…2012年には世界中で約5600万人が亡くなったが、…人間の暴力が原因の死者は62万人…(戦争の死者が12万人、犯罪の犠牲者が50万人)。一方、自殺者は80万人、糖尿病で亡くなった人は150万人を数えた。

26
(戦争が減った理由の一つ)…世界経済は物を基盤とする経済から知識を基盤とする経済へと変容した。…油田は戦争で奪取できるのに対して、知識はそうはいかない。

30
飢饉と疫病と戦争はおそらく、この先何十年も膨大な数の犠牲者を出し続けることだろう。とはいえ、それらはもはや、無力な人類の理解と制御の及ばない不可避の悲劇ではない。すでに、対処可能な課題になった。

36
現代科学の最重要事業は死を打ち負かし、永遠の若さを人間に授けることである、と明言する科学者が、まだ少数ながら増えている。…博学の発明家レイ・カーツワイル…は2012年に、グーグルのエンジニアリング部門ディレクターに任命され、グーグルはその1年後、「死を解決すること」を使命として表明するキャリコという子会社を設立した。

41
じつのところ、現代の医学はこれまで私たちの自然な寿命を一年たりとも延ばしてはいない。医学の最大の功績は、私たちが早死にするのを防ぎ、寿命を目いっぱい享受できるようにしてくれたことだ。

44
19世紀と20世紀には、…国家は国民の幸福ではなく、領土の大きさや人口の増加やGDP(国内総生産)の成長で成功の度合いを測った。

58
(幸福の追求に関して)生化学的な解決策(※向精神薬等)は、快感の果てしない流れを人間に提供し、けっして快感が途絶えることのないようにできる製品や治療法を開発するというものだ。一方、ブッダが推奨するのは、快感への渇望を減らし、その渇望に人生の主導権を与えないようにするというものだった。

64
人間を神にアップグレードすることについて語るときには、聖書に出てくる全能の天の父ではなく、古代ギリシアの神々やヒンドゥー教の神々のようなものを考えた方がいい。ゼウスやインドラとちょうど同じで、…私たちよりもずっと壮大なスケールで愛したり、憎んだり、創造したり、破壊したりできることだろう。

69
「誰かブレーキを踏んでくれませんか?」→
ブレーキがどこにあるのか、誰も知らない。AIやナノテクノロジー、ビッグデータ、遺伝学など、ある一つの分野の展開に精通している専門家はいるが、すべての分野を熟知している人はいない。…あらゆるものを把握してつなぎ合わせ、全体像を見て取れる人は一人もいない。

70
治療とアップグレードの間に、明確な境界線はない。→
両脚が麻痺している人を再び歩けるようにするバイオニック・レッグ…は健常者をアップグレードできる。
血圧の問題の治療薬として登場したバイアグラは…問題を抱えてない人の精力をアップ…
戦争で損傷した顔の治療は…健常者のアップグレード(整形手術)に利用されている

73
…2015年1月3日、イギリス議会はいわゆる「三人の親を持つ胚※」法を可決し、国内でこの処置と、それに関する研究を実施することを認めた。

※細胞核のDNAは父親と母親に由来するが、ミトコンドリアのDNAは別の人に由来する赤ん坊

78
…歴史の知識のパラドックス…
行動に変化をもたらさない知識は役に立たない。だが、行動を変える知識はたちまち妥当性を失う。

115
(農耕とともに始まった)有神論の宗教は、世界はさまざまな生き物から成る議会(アニミズム)ではなく、偉大な神々あるいは唯一神が支配する神政国家だと主張し始めた。
※農耕が生態系に与える影響の正当化、神→人間に支配権・選択権があることの正当化

165
今日、人間は地球を完全に支配しているが、それは個々の人間が個々のチンパンジーやオオカミよりもはるかに利口だったり手先が器用だったりするからではなく、ホモ・サピエンスが大勢で柔軟に協力できる地球上で唯一の種だったからだ。

180
(主観・客観に対し)…第三の現実レベルがある。共同主観レベルだ。共同主観的なものは、ここの人間が信じていることや感じていることによるのではなく、大勢の人の間のコミュニケーションに依存している。歴史におけるきわめて重要な因子の多くは、共同主観的なものだ。…お金…法律…神…国…

182
ほとんどの人の人生には、彼らがお互いに語り合う物語のネットワークの中でしか意味がない。→「意味のウェブ」→それは歴史の中でほどけたり新たに張られたりを繰り返す

187
サピエンスが世界を支配しているのは、彼らだけが共同主観的な意味のウェブ --- ただ彼らの想像の中にだけ存在する法律やさまざまな力、もの、場所のウェブ --- を織り成すことができるからだ。人間だけがこのウェブのおかげで、十字軍や社会主義革命や人権運動を組織することができる。

193
…動物は、二重の現実の中で暮らしている。…木や岩や川(客観的なもの)…恐れや喜びや欲求(主観的な経験)…。サピエンスは三重の現実の中で生きている。(動物の二重現実に加えて)…お金や神々、国家、企業についての物語も含まれている。


抜き書きは以上。書き終わって思ったのは、この『ホモ・デウス(上)』という本は、歴史認識、現状(の世界)認識をより正しく、より俯瞰的に見るために役に立つのではないか?ということ。

今後、ホモ・サピエンスがアップグレードして「ホモ・デウス」になるのかならないのか?ということよりも、現在の人類の状況やレベルはここまできているんだ、ということを正しく知ることの方が重要に思えてきた。


ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来
(ユヴァル・ノア・ハラリ著)




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