小林武彦さんの『生物はなぜ死ぬのか』と『なぜヒトだけが幸せになれないのか』の二冊が面白かったので、「三部作」の残り一冊(↓)を読んでみた。
📗なぜヒトだけが老いるのか(小林武彦 著)
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生物学的な面白い話も色々出てくるし、ヒトだけが老いる理由もそれなりに納得できるのだが、「シニア」=徳のある高齢者が日本を救う…みたいな(著者はそこまで言い切ってはいない?)言い方は、ちょっと無理があると思う。
あと、最後にちょっとだけ登場する「老年的超越」も付け足しのようにしか見えない。
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以下、その読書メモ。
興味深かったことのいくつか。
- ヒトとチンパンジーは 98.5%の遺伝子が同じだが、ヒトとバナナでも 50%は同じ。
- 哺乳動物の一生の総心拍数は約 20億回。脈拍が速いネズミなどは早死に…。
- 老化の主な原因は DNA のコピーミス。
- ヒト以外の動物(例外はシャチ、ゴンドウクジラ)に「老後」はない。動物は生殖機能を失った途端に死んでしまう。
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ヒトに老後がある理由。
ヒトは極めて社会的な生き物である。集団(社会)の中でしか生きられないし、社会の仕組み・力を利用して生き延びてきた。
多くの多様な集団が出来たはずだが、「進化」(変化と選択)の過程で、シニアがいる(役割を持ちそれを果たしている)集団の方が生き延びる確率がより高く、その結果「選択」された…と考えられる。
シニアの役割としては、教育(知恵の継承)、労働(狩、農耕、育児など)の手伝い、集団の中での調整役・まとめ役などがあった。
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現在の日本の状況は多方面で問題を抱えている。それを解決する手段の一つが「シニア」の活躍。
「シニア」とは「高齢者」ではなく、「知識や経験豊富で、教育熱心で私欲が少なく、全体の調整役としてバランス良く公共的に振る舞える人。徳のある人」のこと。
長寿国、日本が持つ豊富で貴重な資源の一つが「シニア」。そのシニアが教育や労働の手伝いや調整役・まとめ役などで(進化の過程と同じように)活躍することで、色んな問題を解決することができるはず。
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貴重な資源である「シニア」を活用すべきという著者の意見には大賛成である。似たようなことを考えたことは、これまでにもある。
人手不足・人材不足と言いながら、なぜまだ十分に働ける「高齢者」を排除する社会なのか?なぜいまだに(世界でも稀な)「定年制」が存続しているのか?…と強く思う。
「シニア」を活用すべきであるが、定年制があり、色んな面でシニアを排除する仕組みを持つ日本社会では、なかなか難しいだろう…というのが私の感想、残念ながら…。
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個人として出来るのは、機会があれば「シニア」としての役割を果たしましょう…と思い続けることくらいしかない。あとは、そのときが(万が一?)くれば、役割を果たせるように心身の健康を維持する努力はしましょう…くらいかな…?
その機会はあまり望めないので、『なぜヒトだけが幸せになれないのか』に書いてあった「何か好きなことに没頭し、あるいは成長や目標のために努力し、ベターを目指すこと」を教訓にして、日々少しでも心地よく過ごすことを心がけようと思う…(^^;)。
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