2025年9月12日金曜日

本『生物はなぜ死ぬのか』地球・生物・死生観…大局観を持つことの心地よさ?

久しぶりに読み応えのある本を読んだ。宣伝文句にある「死生観が一変する」は誇張ではないと思う。

地球や生物の成り立ちや途方もなく長大な時間の流れを、何となく分かったような気になり、視野が拡大し理解が深まったような気がする。何というか、大局観を持つことの心地よさ?みたいなものを感じた ♪

📗生物はなぜ死ぬのか(小林武彦 著)




この本の扱う内容は「壮大」なものである。宇宙誕生、地球誕生、生命誕生、繰り返される大量絶滅と生物の進化、そしてそれを支える細胞などミクロレベルの仕組み。

その大きな流れを「鳥の目・虫の目」で概観しながら、本書のタイトルである『生物はなぜ死ぬのか』を解き明かしていく。

そして、生き物の中でなぜヒトだけが死を恐れ悲しむのか…。


この本の趣旨をわりとまとまった形で書いてある(と思った)箇所があったので、抜書きしておく。

「生物は、激しく変化する環境の中で存在し続けられる『もの』として、誕生し進化してきました。その生き残りの仕組みは、『変化と選択』です。…その性質のおかげで、現在の私たちも含めた多種多様な生物(多様性)にたどり着いたわけです」

「具体的には遺伝情報(ゲノム)が激しく変化し、多様な『試作品』を作る戦略です。…」

「そのたくさんの『試作品を作る』ためにもっとも重要となるのは、材料の確保と多様性を生み出す仕組みです。材料の確保については手っ取り早いのは、古いタイプを壊してその材料を再利用することです。つまり…『ターンオーバー』です。ここにも『』の理由があります」


以下、面白いと思ったことのメモや自分用の備忘(他の資料からの引用も含む)。


138億年前ビッグバン、46億年前地球誕生(表面はマグマですべてのものが燃え尽きる)、地球が冷えて核酸、タンパク質、脂質など細胞の材料が存在できるようになり、様々な「試作品」を作っては分解して作り変えるリサイクルが始まる。

RNAとタンパク質のドロドロとした塊「液滴」が色々変化する中で、奇跡的にたった一つの「細胞」が誕生した。その周りにはもちろん死屍累々たる「試作品」。

40億年前「原核生物」誕生、単細胞の細菌など。27億年前「真核生物」誕生、ミトコンドリアを持つ動物の祖先、葉緑体を持つシノアバクテリアという植物の祖先。10億年前に多細胞生物が登場し、ここまででメジャーチェンジは一段落。このあとはマイナーチェンジが続く。

5億4000万年前「カンブリア紀」、生物は海の中で目覚ましい進化をとげる。「シルル紀」(4億3500万年前~4億1000万年前)から「デボン紀」(4億1000万年前~3億5500万年前)にかけて植物、そして節足動物、両生類が海から陸に上がる。

人類の祖先と推定される「猿人」は約 700万年に登場。


実は現在、地球は生物の「大量絶滅時代」に突入している。ここ数百年で80種が絶滅。地球に存在する推定 800万種の動植物のうち、少なくとも 100万種は十数年以内に絶滅する可能性があり、これは地球史上最速のペース。原因は「人類の活動」!

これまでに 5回も、しかも生物種の 70%〜96%という大量の絶滅があった(↓)とは知らなかった。今回の「絶滅」は最大のものになりそうで、その対象に「ヒト」も含まれる可能性がある…というのは決して大袈裟な話ではないらしい…😞。





改めて「そうなんだ…」と思った昔の「平均寿命」(↓)。





「生存曲線」というものがあって、初めて見るのだが興味深い。

昭和22年(1947年、終戦から 2年後)は、乳幼児の死亡率が高く、22歳頃までに 2割(5人に 1人)は亡くなっている。今 2割の人が亡くなるのは、男性で 72歳くらい、女性で 81歳くらい。まさに隔世の感…。

出典✏️第 23回生命表(完全生命表)の概況(厚生労働省 PDF)






ついでに見つけた国別平均寿命の推移。日本の高さとアメリカの低さが際立つ。

出典✏️第 23回生命表(完全生命表)の概況(厚生労働省 PDF)




…ということで、生物(ヒト)が死ぬ理由が分かっても、やはり老いたくはないし死にたくもない。というか、家族のことなどを考えると不安だらけである。

自分という存在が消えることは、怖いというよりよく分からない。ただ、死に至るまでの痛みや苦しみはできれば避けたい…。

などと一通りは人並みの感情・感覚を持ってはいるが、まぁ、将来のことはよく分からないので、私の信じる "something great" に委ねるしかないと思っている ♪

それにしても、この歳になっても世の中まだまだ知らないことだらけ…ということをこの本は改めて痛感させてくれた…(^^;)。



【関連記事】

0 件のコメント: