2025年9月23日火曜日

本『認知症世界の歩き方』認知症のより良い理解、今出来ることへの感謝 ♪

たまたま見た記事で『認知症世界の歩き方』という本が映画化されるということを知り、読んでみたのだが、なかなか分かりやすくて役に立ちそう ♪

認知症に対する理解が少し深まったと思う。仮に自分が認知症になっても何とかなりそうと感じた。工夫の余地は色々ありそうだし、周りの人の協力・配慮、社会インフラの改善(スローショッピング等)などにも期待できそうだ。


📗認知症世界の歩き方(筧 裕介 著)



この本は、医療従事者や介護者視点ではなく「認知症のある方が実際に見ている世界」が読みやすいストーリーにまとめられていて、オススメの一冊かも知れない。

読書メモを書こうと思ったが、「issue+design」(著者の会社)が運営しているポータルサイト(↓)がよく出来ていて、内容についてはそちらを参照して(あるいは本を読んで)戴いた方が早いと思う。



なので、以下は自分用のメモ。

認知症になると損なわれる認知機能、つまり「今出来ていること」をこの本からざっと拾い出して、今自分が出来ていること、そのありがたさを再認識したい。

自分自身の知覚や判断や行動の中身や、それが可能になっている仕組みを少し理解するとともにその機能などが衰えないように、心がけたいと思う。


まず、全体的な話として、認知機能とは「ある対象を目・耳・鼻・舌・肌などの感覚器官でとらえ、それが何であるかを解釈したり、思考・判断したり、計算や言語化したり、記憶に留めたりする働き」。


●「記憶」のプロセス:記銘→保持→想起

●「目の前に見えないもの」を想像・想定する

※冷蔵庫に入っているもの、道案内で「この先の(見えない)角」など。

●「言葉」とリアルな実体を結びつける

●「分類」する言葉とその分類に含まれるものを理解する

●「人の顔」を見分ける

※人間は人の顔を「目・鼻・口といった細部の形ではなく、それぞれのパーツの位置関係から人の顔を見分けている」。そして、「顔や姿・形の記憶だけでなく、さまざまな情報を引き出し、照合することで、目の前の人がだれかを判断している」。

●「2D ←→ 3D」:二次元の写真から三次元の人の顔を想像する

※目から入ってきた二次元(視覚)情報を脳は三次元情報に変換し、記憶などを元に世界を再構築している。

●「知覚→判断→行動」

※知覚したものをどう判断するかは、過去の記憶や知識・経験による。

●「味覚・嗅覚」が正しく作動する

※感覚器官そのものの機能に加え、「美味しい」などの記憶と結びつけている。


「内臓感覚」「体性感覚」「身体地図」という話は何となく思っていたことだが、なるほど!と思った。とくにイチローのエピソードは興味深い。

自分の身体(の内外)にもっと気を配り意識する必要がありそうだ。


●「内臓感覚」:空腹・喉の渇き・尿意などを感じる働き

●「体性感覚」「身体地図」:自分の手足の位置や動かし方が分かる

※「体性感覚」は、触覚、痛覚、温度覚などの皮膚感覚と、体の位置や動きを感知する深部感覚(関節、筋肉、腱などから来る感覚)を合わせた体の感覚システム。

※イチロー選手は「手・腕・腰・膝など自分の身体がどのように動いたのかをすべて知覚し、言語化できた」という。

●「空間認識能力」:自分がいる空間を正しく認識する


●物がちゃんと見える(幻視などがない)

※「パレイドリア」は物の中に人の顔や動物の姿が見えてしまう現象で、普通の人にも模様の中に人の顔が見えたりするが、レビー小体型認知症の特有の症状として「幻視」が起こることがある。物体・顔・空間・位置・動きの認知に関する脳の働きと関連している。

●「時間感覚」「体内時計」

※脳の視交叉上核は太陽の光を感知して体内時計のズレを調整している。

●動作の順番を認識し正しい順序で連続して動作する

●前後左右の方向感覚

●視界や視野(認知症になると狭くなることがある)

●地図(二次元)と目の前の景色(三次元)を照らし合わせる

※「馴染みの街」を迷わずに歩けるのは、たくさんの記憶(そこを歩いた経験や入った店など)の集積で頭の中に地図のようなものが出来ているから。

●「カクテルパーティ効果」

※人には自分が必要な情報に特別な注意を向けて、集中する能力が備わっている。その能力が衰えると関係ない音が大きく聞こえたりする。光に関しても同様の現象がある。

●「注意」に関連する能力:注意の選択・切替・持続・抑制・分配

※脳は、五感から入ってくる大量の情報の中から、注意するもの、注意しないものを選択・切替している。

●「会計」は難しい手続きの連続:記憶・計算・錯覚・注意・空間認識…

※イギリス発祥の「スローレジ」「スローショッピング」という取り組み。


一通り読んでみて思ったのは、人間の能力には「記憶」に頼る部分が多いなぁ…ということ。

知覚したものをどう判断するかは、過去の記憶や知識・経験によるし、言葉が何を指すかも記憶に頼っている。会計や料理などの手順も同じだ。

人の顔を認識する場合にも、今見ている視覚情報(二次元)から三次元の顔を想像するだけでなく、その人に関する様々な記憶(これまでの付き合い会話とか…)を脳の中で照合しながら、その人を特定している。

…ということで、人の名前を忘れるとか、話していて使いたい言葉が出てこないとか、私自身に今でも起きていることを少しでも減らすようにしたい…(^^;)。



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