なぜ日本という島国は、国際基準に逆らって独自路線を行きたがるのか?…実に不可解である。新型コロナの重症度という非常に重要な基本的な用語・定義についてさえ、日本の基準は国際基準と異なっている。
そろそろ、国際基準に合わせましょう!…という声はお偉方の中からは出ないのか…(^^;)?
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上の図は、下記の記事を元に作ってみたものである。厳密さには欠ける部分もあるかも知れないが大きくは合っているはずだ。
✏️新型コロナの「中等症」 入院の優先度はどのように決められているか(倉原優:呼吸器内科医)
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メディア報道の最大の問題点は、いまだに「中等症で入院…」などと、「中等症 Ⅰ」と「中等症 Ⅱ」とを区別していないものが多いことだろう。
同じ「中等症」という言葉だから似たようなものだと思っているとしたら、報道者としては失格である。
上の図で分かるように、「中等症 Ⅱ」は国際基準で言えば「重症」であるし、上の記事にも書いてあるが「れっきとした呼吸不全」なのだ。
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海外基準と異なることで、しかも同じ「重症」という用語を違う意味で使っていることで様々な問題が起きる可能性がある。上の記事にはこんなこと(↓)が書いてある。
「海外で新型コロナの治療薬が開発されたときなど、『重症に適応』と書かれていても、日本では「中等症II」で使えたり、ニュースの翻訳で『彼は新型コロナの重症だった』と書かれていても、日本では『中等症II』だというちぐはぐな現象が起こりえます」
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さらに、一般人のイメージが「中等症だから大したことない」という誤った方向に行きかねない。…というか、少し前に米国内科専門医の安川康介氏が作成したイラストにもあるように、一般人のイメージは医者とずれてしまっているのだ。
「若者は重症化しないからワクチンは必要ない」と言う人がいます。日本の「重症」の定義は人工呼吸器や集中治療が必要な状態です。30代、40代でも中等症になる方はそれなりにいて、僕も多く診てきました。軽症や中等症といってもピンとこない方もいるので、スライドを作ってみました。 pic.twitter.com/ibTUPcpBXo
— 安川康介@米国内科専門医 (@kosuke_yasukawa) July 19, 2021
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さらに、事実(fact)を見えにくくしているのが、東京都の「重症者」の定義である。国の基準での「重症者」(国際基準では「重篤者」)が 1,000人以上いるときに、都が公表する「重症者数」は 200人台だったりする。
有効な対策を立案して実行するのは本当に大変なことだと察するが、せめてその基礎となる「状況把握」をしっかりして欲しい。そのためにも、基準の統一や、統一された基準でのデータをしっかり出して欲しいと願う。
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