2021年9月3日金曜日

コロナ・ワクチンの効果はどのくらい継続するのか?

新型コロナもデルタ株が蔓延しているかと思ったら、今度は「ミュー株」というのも日本に上陸したらしい…(^^;)。

変異種が出てくると心配なのはワクチンの効果である。もともと時間が経つと少しずつ効果は薄れていくという話もあるが、たしか 1年近くは大丈夫だったと思う。

でも、変異種はまた話が別である。




今日本で多いのはデルタ株だが、「デルタが増えてきてからのワクチン効果」に関する報告が、アメリカ CDC から出たようだ。上の図はその資料の一枚。

結論から言うと、感染予防や軽い症状を抑える効果は「39〜84%」と下がる傾向にあるが、入院が必要になったり重症化するリスクは「75〜90%」くらいは抑えられるようだ。

上の図で見ると、感染予防も 80%程度の症例が多いようなので、ある程度安心していいのだと思われる。


上の絵は、下記の「安川康介@米国内科専門医」さんのツイートから引用させていただいたもの。



ちなみに、引用元の CDC の資料(PDF)はプレゼンテーション用になっていて、とても分かりやすい。英語であることを除けば…(^^;)。

日本でもこういう科学的なデータや分析に基づいた報道が増えるといいのだが…。


日本の報道は、どうも一部を誇張したものが多い。残念ながら…。

例えば、この記事(↓)は中身を読むといくつかの調査結果が載っているのだが、「有効期間は3か月」だけが目立っている。



内容を読むと 4件の報告が紹介されている。

  1. 藤田医科大学:IgG抗体の量が 1回目接種から3か月後に平均約1/4に減少(ファイザー製 209人のデータ)
  2. 米ファイザー&独ビオンテック両社:発症予防効果は、2回目の接種から2か月間は 96%、4か月後は90%、半年後は84%
  3. オックスフォード大学:接種を受けなかった人に対しての有効性:ファイザー製は、1か月後は 90%、2か月後には85%、3か月後には78%。アストラゼネカ製は同じ期間に 67%、65%、61%。
  4. 米ミネソタ州のメイヨー・クリニック:2月から 7月の間に感染防止率は、モデルナ製で  91%から76%に、ファイザー製で 89%から42%に減少


これを見ると、タイトルの「有効期間は3か月」は、どう見ても「ブースター接種」の現実味を言いたいために、都合のいいデータだけを持ってきたとしか思えない。

1. の藤田医科大学以外の調査結果では、5〜6か月後でも 84%、76%、42% の感染防止率が出ているのだ。

しかも、藤田医科大学のプレスリリースには下記のような「ただし書き」が記載されており、この「IgG抗体の量」だけでは「発症予防効果、重症化予防効果」などは決められないと書いてあるのだ。

「ただし、ワクチンの効果は抗体産生だけでなく、細胞性免疫によるものもあります。抗体価の低下がどの程度ワクチンの発症予防効果、重症化予防効果などの低下を示しているかは今後も研究が必要です」



日本の研究機関・報道機関・厚生労働省などの奮起を促したい。

国民が正確な情報を分かりやすく受け取ることができて、科学的なデータやエビデンスに基づいて、大事なことを判断できるように…。

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