今回発表された英国の研究結果では「太っている人の脳は萎縮している」という相関関係が明らかにされた。必ずしも、肥満が認知症を引き起こすということではないが、ちょっと気になる結果ではある…。
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この研究結果をNeurology誌に発表したのは、英Loughborough大学のMark Hamer氏ら。紹介記事は下記。
*太っている人ほど脳が萎縮 認知症発症に関係?
今回の調査対象は、分析に必要なデータと頭部MRI画像のある、認知症ではない 9,652人(平均年齢55.4歳、47.9%が男性)で、英国の40~69歳の人々。
肥満に関する指標は次の3つが使われた。
- BMI
- ウエスト・ヒップ比=ウエスト周囲径 ÷ ヒップ周囲径
- 体脂肪量
「ウエスト・ヒップ比」というのはあまり聞かない指標だが、分かりやすいかもしれない。女性で 0.85超、男性で 0.90超だと太り過ぎになるらしい。
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脳のMRIで計測されたのは「白質」と「灰白質」の量で、これらの萎縮はエピソード記憶(本人が経験した出来事に関する記憶)の低下や認知症リスクにつながるとのこと。
肥満に関する指標と脳の萎縮の関係を分析した結果、どの指標でも太っているほど「灰白質」の容積は小さくなるという関係が認められ、一方で「白質」との相関関係は認められなかったそうだ。
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もう少し細かく分類した(BMIが25未満/25〜30/30以上でそれぞれ内臓脂肪型肥満あり/なし)分析で分かったことは、
「灰白質の容積が最も萎縮しているのは、BMIが30以上の内臓脂肪型肥満の人」
ということ。ちなみに、BMI30以上の人の72%が内臓脂肪型肥満だったとのこと。
ただ、今回の調査で分かるのは「相関関係」であって「因果関係」ではない。肥満が脳の萎縮を引き起こすのか、脳の萎縮が肥満を引き起こすのかは、依然として不明だ。
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とはいえ、肥満は高血糖、高血圧、高脂血症などの生活習慣病につながることはほぼ間違いなく、生活習慣病の症状が間接的に脳の萎縮につながることも考えられる訳なので、いずれにしても体重・脂肪量のコントロールは認知症予防の観点からも重要だと思う。
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