「70代の認知症発症を10年間で 1歳遅らせる」という何の根拠もない数値目標を「認知症対策の新大綱」に盛り込もうとして、反対意見に配慮して取り下げたことに対する論説(*)だ。
*政府の認知症対策 緻密な議論が必要だ
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論説はこう述べる。
「科学的事実はこうだ。認知症を防ぐ方法も進行を止める方法も今のところ、ない。数値目標を立てても達成するすべがないのだ。参考値としてであれ、SFじみた数字を政策に掲げる国は果たして文明国なのか」
認知症の予防法がないのは残念だが、根拠のない数字を政策に掲げる国が「文明国」ではないのは、まったくその通りだと思う。
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さらに、「新大綱」には「予防に役立つと考えられる民間の商品やサービスを評価、認証する仕組みを検討する」とあるようだが、これも大いに疑問。論説でも、
「予防法が不明なのにそんな仕組みが必要なのか。科学的根拠の乏しい商品やサービスが出回ることにならないか」
と危惧・批判している。
それでなくても、科学的根拠のなさそうな怪しげな化粧品やサプリメントの販売が堂々とまかり通る国だ。上記の危惧はもっともだと思う。
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論説では、
「官邸主導による政策の粗雑さは分野を問わない。1年前に閣議決定した統合イノベーション戦略は『参考値』として『23年度までに世界大学ランキングトップ100に10校以上』を設定した」
ことに対する苦言を呈しているが、「粗雑な政策」の一覧表でも作ってもらいたいものだ。かなり長いリストになりそうな気もする…。
少子化対策、働き方改革、年金政策、財政政策、エネルギー政策、国土政策、復興支援政策、過疎化対策、…。そもそも、こんなに住みにくい国にした責任をどうとるのか!?
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…と、グチっぽくなってきたので、最後にこの論説にあった、認知症の予防がまったく不可能ではないという話をご紹介する。
2017年に英医学誌ランセットに発表された、「年代別の認知症リスク要因」に対する研究結果をまとめたものだ。
「18歳未満の低学歴(初等教育まで)、45~65歳の高血圧、肥満、聴力低下、65歳超の喫煙、抑うつ、運動不足、社会的孤立、糖尿病という九つの要因が組み合わさり、発症全体の35%に絡んでいる可能性がある」
…つまり、肥満とか運動不足などに気をつけましょうということ。以前このブログに書いた「難聴」の話の時に出てきた図(↓)と同じ内容だと思う。
→《耳の健康も認知症予防には重要:難聴には補聴器を》
まぁ、今のところ「認知症対策」は「健康維持」の努力しかないということだ。それはそれで大事なことなので、健康第一の生活は続けたいと思う…(^^)♪。
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