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赤い灯(ひ)
赤い灯がともっている街を
ひとりして歩いた
風はなんにも語らないけれど
少しばかり埃をたてて
たいくつした詩人の心を
まぎらわしてくれる
星はなんにも語らないけれど
時おりその無垢なひとみで
心配そうに
つかれた詩人の心を
のぞきこむ
赤い灯のともっている街を
何も語らずに歩く人々も
なにかしら
無言の言葉をもって
詩人の心を
あたためてくれる
ひとりぽっちの詩人は
いつのまにか
街を通りすぎて歩きつづける
赤い灯は
けれど消えずにともっていた
1970.10.11
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