1980年9月28日日曜日

⏳愛の断章

『さぼてん』1969.3.8 - 1970.10.25


愛の断章

  Ⅰ

大きな海の
深い霧につつまれた光の反映に
やさしい母の顔がある
その瞳は死の淵のように深く
あたたかく
その口元には意味のないほほえみ…

  Ⅱ

いちめんのきいろ
なのはなばたけ
たんぼのあぜみちをふたりのこども
ふたつの手は
いつかとおざかっていった

  Ⅲ

たぶん秋の青空であろう
その田舎道を
白い少女がすれちがう
その瞳はいまも
あこがれをたたえている

  Ⅳ

君は夢の中にしかいなかった

  Ⅴ

遠い異国の
その人はそよ風
春のかぐわしい甘いそよかぜ
ボクのまわりで
ほがらかに笑い歌い
ボクによびかけながら
いつもきまって
ボクをおいて
ひとり遠い異国の村へ
とび去ってしまう
君は遠いそよ風

  Ⅵ

ぼくはふるさとをもたない
君はぼくのふるさとだ
だのに君は
かたくとざされた扉
見むきもしない
異郷の街
ただ冷たい風が
旅人をかりたて
砂をふきあげる

  Ⅶ

髪の毛の長い嘆息
清楚な瞳のあこがれ
淡いくちびるの憂鬱
そして
一つの想い

  Ⅷ

暗黒! … 闇だけが光る
はじめの想いさえ
わすれてしまった

  Ⅸ

せんちめんたるの遠いまぼろし
あわく哀しい生命のまどろみ
ひとつの想い
それは母なる海への
はるかな…
はるかな のすたるぢあである
……………


1970.9.28


にほんブログ村 健康ブログ 健康法へ にほんブログ村 シニア日記ブログへ このブログについて

0 件のコメント: